ヤギの餌に関する疑問点ってたくさんありますよね。
そもそも何をあげればいいんだろう?どれくらいの量あげるんだろう?放牧するときはどうすれば?……など挙げ出したらキリがありません。
ということで、実際に二頭のトカラヤギを飼育している筆者が、ヤギの餌にまつわる基本から注意点まで解説をしてみます!
この記事では、毎日与える餌は何か、どれくらいの量が適量か、毒草に注意が必要、その他に与える餌、をご紹介しています。
これでヤギの餌に関する悩みが解説できますように!
雑草がなくなってしまう冬の餌については以下の記事でご紹介中です。気になる方は合わせてご覧ください♩
毎日与える餌は?
放牧する時
雑草がたくさん生える春~秋にかけては、基本的には雑草(生草)のみで大丈夫です。
放牧して自由に雑草を食べさせてやると、自分で食べる草をバランス良く選びますし、量も判断します。とても賢いですね。
飼い主も楽ちんです。
ヤギにとって、放牧されて自由に草を食める時間はとても幸せなものなのだそう。人間で言うとビュッフェみたいなもの?
できるだけ広い環境でその望みを叶えてあげたいですね。飼う前にそのような環境を提供できるか、きちんと考えることも大切だと思います。
放牧できない時
放牧できない時とは、例えば以下が考えられます。
- 真夏の日差しが厳しい季節:ヤギは暑さが苦手で熱中症にかかりやすいため、夏場むやみに放牧するのは危険です。どうしてもという時は、日陰で風通しの良い場所を選びます。
- 雨の日:ヤギは雨が嫌いです。小雨でも屋根の下に逃げ帰ってしまうので放牧は諦めます(笑)
上記のように放牧できない時は、飼い主が餌を調達してあげます。
難しいことはなく、適当に雑草(生草)を刈ってあげればOKです。
鎌が大活躍です。
ヤギは先端採食者と言って、草の先端部分を好んでよく食べます。根っこの部分はあまりお好みではないようです。これは土に付着している菌類を避けているからだそう。
ただ、雑草の根っこや土が付いた部分は基本的に残すのに、たまに崖から出てきた硬めの泥をパクパク食べていることがあります。ミネラル補給?をしているのかもしれません。
ちなみにヤギは飽き性なので、いろいろな種類の草を少しずつ与えるといいです。多品目ですね。
事情があって雑草が採れないときは、牧草(乾草)で対応してもOKです。牧草は飼料会社や農協で購入可能です。
ヤギが好きな草
雑草といっても、具体的にどんな草が好きなの?という点が気になると思いますので、
好きな雑草(生草)を列挙してみます。
- クズの葉
- カラスウリの葉
- ヨモギ
- クローバー
- ススキ
- スギナ
- ヤツデ
- ミツバ
- ドクダミ
- シソ
- 芝
- セイタカアワダチソウ
- イタリアンライグラス
- チモシー
こんな感じで、庭に自生しがちな雑草は大体なんでも食べます。
名前が分からない雑草もありますが、ヤギたちは本能に従って食べる食べないを決めています。
注意点としては、人間が与えてしまうと安心して毒草でも食べてしまうことがあるそうです(毒草については後ほどご紹介します)。
牧草(乾草)で食べるのは以下です。
- アルファルファ(マメ科)
- オーツヘイ(イネ科)
- チモシー(イネ科)
草はおおまかに、マメ科とイネ科に分けられます。牧草は、バランス良く食べられるように数種類を用意しておくと安心です。
ちなみにマメ科は栄養価が高いですが、あげ過ぎるとガスが溜まり過ぎりて排出できなくなる病気(鼓張症)になります。
マメ科は与えすぎ注意!です。
ミネラル塩(鉱塩ブロック)
草の他に必要なものがあります。ミネラル分を補給するための、鉱塩ブロックです。
小屋の空きスペースに設置してやると、ヤギが欲するときに勝手にペロペロ舐めますので、タイミングは彼らにお任せします。
うちではアマゾンで手に入れた家畜用の岩塩(アニマルソルト)を利用しています。紐付きなので、ぶら下げやすく使いやすいです。1個で十分です。
餌の量は?適量は?
一般的には体重の2.5~3%(乾草の場合)を与えると良い、とされています。
例えばうちのトカラヤギは小型で体重が25kg程度なので、その3%は750gですね。
こんな感じで、飼育しているヤギの体重から餌の量を割り出すといいと思います。
ちなみに秤で750gを計測してみたところ、農具の「てみ」山盛り一杯程度でした。
乾草ではなく生草の場合は、一頭につきコンテナ1~1.5杯分/日の雑草を与えています。
生草は重量の約70%が水分なので、必要な栄養分を摂取するには乾草よりもボリュームが増えますね。
我が家のヤギたちは小屋から自由に出入りできるスペースにも雑草がたくさん生えているので、もしかしたら足りない分はそこで食べているかもしれません。
毒草に注意
ヤギが食べられない毒草を列挙します。
- ツツジ
- レンゲツツジ
- アジサイ
- アセビ
- スイセン
- スズラン
- ナンテン
- シャクナゲ
- ワラビ
※ここに掲載したのは一例で、その他にも食べられない毒草があります。
毒草を食べると、嘔吐、下痢、神経麻痺など様々な症状が現れるそうです。
幸い我が家のヤギたちは毒草にあたったことはまだありませんが、今後も注意したいなと思います。
ただ、ヤギは自分たちで食べられる・食べられないを判断しているようです。特に放牧している時は本能が働くのだとか。人が与える際は誤って口にすることがあるため、注意が必要です。
青草中毒とは、普段は無害な青草内に雨上がりで晴れた直後一時的に毒素が増してしまい、それをヤギが食すことで起こる中毒です。
一般的な毒草のほかにも、このように雨上がりの青草には注意が必要ということですね。
詳しくは以下の記事で解説しています。
時々与える餌
濃厚飼料(圧ぺん大麦など)
濃厚飼料とは、穀物を主とした餌のことです。例えば、トウモロコシ、ムギ、コメ、豆類などが挙げられます。
ヤギたちは、圧ぺん大麦が大好物です。飼料会社や農協から購入できますが、あげ過ぎ禁物です。
妊娠中や授乳中でない限り、ヤギは粗飼料(雑草、乾草)で事足ります。むしろ、繊維質がたっぷりの草をたくさん与えないと胃の働きが弱ってしまうのだとか。
野菜
野菜も時々与えます。キャベツ、大根菜、小松菜、ニンジンなどはよく食べます。枝豆の茎や葉は栄養価が高く、ヤギが好みます。
ただし野菜には化学肥料が使われていることが多く、与えすぎるとヤギの体で分解しきれなくなって死に至るということもあり得るそうですので、同じものを与え続けるのは避けたいです。
ジャガイモの芽と根にも毒がありますので、気を付けます。
果物
アンディとフランクは「柿」が大好物で、まだ熟していない青い柿も、熟れ熟れの柔らかい柿も、好んで食べます(しかも種ごと)。
バナナも時々食べます。うちの子には与えたことがありませんが、一般的にはリンゴやメロンが好きなヤギさんが多いのだとか。
まとめ
ここまでヤギの餌に関するあれこれをご紹介してきました。春から秋にかけては、雑草がたくさん生えますので、そこまで気を付けることはありません。基本は雑草(+鉱塩)のみで大丈夫です。
ただし毒草には注意します。そしてたまに野菜、果物、圧っぺん大麦やくず米などの穀物をやれば健康に過ごしてくれます。ではまた。
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