お庭の空いているスペースを使って家庭菜園をしたいって思うけど、一番初めに何をしたらいいか迷いますよね。
いろんなサイトで調べていると、畑じゃないところを畑にするのって大変そうに思えてしまいます。土地の状態はそれぞれだから、専門的な知識がないと難しいんじゃない、とかとか。
このブログの中では、農学部を卒業して、5年間農業経営をしてきた筆者が「はじめやすい」をテーマに気軽に家庭菜園をスタートできるような方法を紹介していきます。
今回の記事のテーマは「庭の空きスペースを畑にする」です。
具体的には、畑にする場所を掘って、肥料や土壌改良材を入れる「タイミング」と「量」について、低いコスト、少ない工程に心がけて解説しています。
誰でも簡単に始めやすいような方法を解説しますが、一気に最高の土壌にするという魔法みたいな方法ではありません。土づくりは、野菜を作りながら年月をかけて土壌をよくしていくことですので、はじめの一歩として参考にしてください。
畑にする場所を掘り起こす
畑にする場所を決めたら、その場所の土を掘り起こしていきます。畑にする一角は、日当たりが良いに越したことはありませんが、日当たりが良くなくてもあきらめる必要はありません。
使う道具は「剣先スコップ(剣スコ)」です。剣スコについては、以下の記事で解説していますので参考にしてください。
剣スコを畑に刺し、足をかけて力を入れます。剣スコが土に埋まるくらい、20~30センチメートルの深さを掘りましょう。
力を入れて足を踏み外すとケガをしてしまいます。踏み抜き防止のゴム長靴を使用するとケガの心配がありません。
石や根を除く
畑を掘り起こしたら、石ころや、植物の根っこを取り除いていきます。もともと畑ではなかった場所を畑にしていくので、たぶんいろいろなものが出てきます。
石ころがあると、野菜が育つ邪魔になりますし、道具を傷つけてしまうので取り除きましょう。植物の根っこも、雑草が生えてくる原因になりますので大きなものは除いておきます。
この作業は、剣スコで掘り起こす作業と並行に進めることができます。疲れないように交互に行うのもいいと思います。
土づくり
野菜を作る前に畑に入れるのは、以下の3つです。こだわるといろいろなことが出来るのですが、簡単な方法を提案しています。
- 苦土石灰(くどせっかい)
- 牛糞堆肥
- 発酵鶏糞
それぞれ投入するタイミングが違ってくるのですが、植え付けに間に合わないときなどは、仕方ないのでタイミングは気にせず一緒に投入しても大丈夫です。
順にそれぞれの役割や、投入する量、タイミング、ホームセンターでの価格について紹介します。
(1)苦土石灰(くどせっかい)
まずは、苦土石灰です。苦土石灰は、土壌のpH(ピーエイチ/ペーハー)を調節するために使います。
pHとは?
pHは、水素イオン濃度の略称。pH7(中性)を中心に、値が小さいほど酸性の性質が強く、値が大きいほどアルカリ性の性質が強くなります。
日本の土壌は、火山灰に由来するため酸性を示すものが多く、未耕地土壌では5以下の土壌も珍しくありません。畑の土壌は弱酸性(5.5~6.5程度)が適しているため、苦土石灰でpHを調整します。
苦土石灰や消石灰は、野菜を植える1か月前に使います。使う量は、1平方メートル(1m×1m)あたり一握り(100g)くらいが目安です。
苦土石灰を撒いた後は、軽く耕します。
消石灰(しょうせっかい)でも大丈夫です。苦土石灰、消石灰ともに主要な成分は水酸化カルシウムですが、苦土石灰にはマグネシウムが含まれています。
火山灰土壌ではカルシウム、マグネシウムといった塩基類が乏しいことがありますので、購入するのであれば最初は苦土石灰がオススメです。
また、粉状と粒状の2種類が売られています。粉状は、粒状より即効性があります。
ホームセンターでは、苦土石灰5kgの袋が500円程度で販売しています。
実際に土壌測定器(pHテスター)を使うとpHを計測することが出来ます。厳密にpHを測定したい方にはオススメです。その場合の参考ですが、1平方メートル当たり100g苦土石灰を撒くとpHが約0.5上がるといわれています。
(2)牛糞堆肥
牛糞堆肥は、肥料成分というよりも、土をよくしていくために必要です。
牛さんが育つ環境を想像するとわかりやすいのですが、肥料分っぽい糞尿だけでなく、敷き藁(わら)も一緒に堆肥になります。そのため、肥料というより、土壌改良材としての役割が強くなります。
牛糞堆肥は、1平方メートルあたり2kgくらいを目安に、野菜を植える2週間前に使ってください。最初はもっとたくさん入れても大丈夫です。
牛糞堆肥は、40L(15kg)が400円程度で売られています。
牛糞堆肥の代わりに、生ごみや落ち葉などで堆肥をつくることも出来ます。
(3)発酵鶏糞
発酵鶏糞は、野菜が育つための肥料成分です。
有機農業をやっている農家では、メインに発酵鶏糞を使っています。
発酵鶏糞は、牛糞堆肥と同じタイミング(野菜を植える2週間前)に、1平方メートル当たり100~200gくらい使いましょう。
牛糞堆肥と発酵鶏糞を畑に撒いたら、畑を耕します。
発酵鶏糞は、ホームセンターでは20kg200円超くらいで販売されています。
まとめ
この記事では、お庭の空いているスペースを家庭菜園にしていく方法について解説しました。家庭菜園で、土づくりはとっても大切です。
毎年堆肥を投入して、少しづつ土壌改良していってください。
この記事がみなさんが家庭菜園をスタートする参考になれば嬉しいです。ではまた。