日常生活のなかで耳にする「不動産登記」という言葉。実はよく分かっていなかったりしますよね。
そこで登記について勉強してきた筆者が基礎的な情報をコンパクトにまとめることにしました。
この記事では「不動産登記」ってなにか、どこで、なんの為にするのかをご紹介しています。特に今後、物件購入を検討している方にとっては深く関わってくるテーマとなります。サラッとでも知っておくといいかもしれません。
これで「不動産登記」の基礎情報を把握できますよ!
不動産に関する権利変動を記録すること
まず初めに不動産登記とは「不動産登記制度」にのっとり行われる作業のことです。この制度は不動産登記法に基づき整備されています。
制度の目的は、不動産に関する権利の変動等を公の帳簿に記録して、不動産取引の安全を図ることにあります。
もう少し噛み砕いてみます。
不動産を売り買いしても、その不動産が一体誰のものになったのか?ということは当事者でないと分かりません。土地や建物はその昔から最も重要な生活基盤であって、公的な制度で権利関係を明確にする必要がありました。
そこで、取引があった土地や建物について、公の帳簿に記録することにしたのです。
記録内容は、所在地、面積、所有者の住所、名前などです。この帳簿の特徴は、求めれば誰でも閲覧可能という点にあります。
つまり「不動産登記」とは、不動産にまつわる情報を公の帳簿に記録し、権利関係などを誰もが見て分かるようにすること、を言うのです。
そして登記に関する一連の事務作業を担うのは、法務局や地方法務局(登記所)となっています。
じゃあ公の帳簿に記録すべき情報ってどんなのがあるの?について以下から説明します。
構成はどうなっている?
不動産登記の記録は二部構成に区分して作成します。
- 表題部(土地の表題部、建物の表題部)
- 権利部(甲区、乙区)
それぞれどんなことが書いてあるのでしょう?
表題部とは
表示に関する登記が記録される部分を言います。
具体的には
▼土地の表題部▼
所在地、地番、地目、地積、所有者の氏名・住所(=物理的現況)
▼建物の表題部▼
所在地、家屋番号、種類、構造、床面積、所有者の氏名・住所
などです。
例えば、家を新築した、建物を壊した、といった場合には登記が必要になります。表題部に関する登記は申請が義務付けられていますので、必ず手続きを行う必要があります。
とてもざっくりした見本を作ってみました。表題部(建物)にはこんなことが書いてあります。イメージが伝わればいいと思います。
ちなみにこの表題部に最初にされる登記のことを「表題登記」と呼びます。
土地家屋調査士と呼ばれる方々が、この表題部の手続きを代行できることになっています。
権利部とは
権利に関する登記が記録される部分を言います。
具体的には
▼甲区▼
所有権の保存、所有権の移転等(=所有権)
▼乙区▼
地役権、抵当権の設定等(=所有権以外)
などです。
表題部と違って権利部には申請義務はありません。何かあった際に不動産の持ち主であることを公的に証明するため登記するのが一般的だからです。
ちなみに権利部に初めてする所有権の登記のことを「所有権の保存の登記」と呼びます。
物件を購入すると銀行と契約して住宅ローンを組む方が多いと思いますが、そういった情報も抵当権として権利部に記載されます。
司法書士と呼ばれる方々が、この権利部の手続きを代行できることになっています。
物件を買う時、不動産屋と一緒に司法書士がお世話してくれるのは、この権利部に関する登記の作業を代わりに行ってくれるからなんです。
誰でも請求できる?
利害関係の有無を問わず、誰でも手数料を納付すれば、関係書類の交付を請求することができます。
法務局を訪ねると以下のような請求書が置いてありますので、記入し、収入印紙(その場で買える)を添付します。こうすることで誰でも請求ができてしまうのです。
最もポピュラーなのは、全部事項証明書でしょう。過去に記録された情報など、全部が掲載されています。
これは、登記の記録を紙面上に印刷して「これは登記記録に記録されている事項の全部を証明したものである」などの認証文が付された書面です。あくまで書面であって、PDFなどで受け取ることはできません。
もし、現在効力を持っている部分のみの情報が欲しい場合はそれで請求もOKです。
同じく地図や建物図面なども、誰でも交付・閲覧請求が可能です。
まとめ
ここまで「不動産登記」にまつわる基本的な知識をお伝えしてきました。
物件を購入すると場面によってさまざまな専門家の方たちと触れ合う機会が生まれるので、職場見学みたいで楽しいですよ。ではまた。