この記事では、これから民泊をはじめようか考えている方に向けて、今も進んでいる民泊の規制緩和について紹介します。
私たちは2020年から茨城県で民泊を運営していて、さらに2軒目、3軒目のオープンを目指しています。
この記事では、実際に民泊を運営している私たちが「最近の民泊事業」について紹介します。この記事がこれから民泊をやってみたい方の後押しになるとうれしいです。
住宅宿泊事業(民泊)とは
住宅宿泊事業(民泊)は、2018年に施行された「住宅宿泊事業法(民泊新法)」による施設です。住宅を活用して、宿泊客を受け入れることができます。
マンションなどを活用した民泊が社会問題となったことから「民泊新法」が整備されました。これまで無届の民泊を行ったいた人から見ると規制強化ですが、誰でも参入しやすくなった規制緩和と捉えることもできます。
民泊は大きく2つに分けることができます。
家主居住型:家主が住んでいる建物内(または敷地内)にホストが滞在する
家主不在型:家主がいない建物をホストに提供する
以下で、“家主居住型の場合”などの言葉を使って最近の動向について説明していきますので、民泊の種類については気を付けて読んでいただけたらと思います。
(2018年)消防法は民泊新法施行と同時に改正
2018年に民泊新法が施行されるのと同時に、消防法が一部改正されています。自動火災報知設備の設置合理化、誘導灯の設置免除等、申請書類等の合理化がされています。
具体的に改正されている内容は以下です。詳細を示してありますが、まずはさらっと読み飛ばしてくださって大丈夫です。
自動火災報知設備の設置合理化
自動火災報知設備については、原則として、無線式の感知器のみで構成される簡易な設備で足りることとする規定を整備(消防法施行規則等の一部改正(2018年6月1日施行))。
- 建物延べ面積が500㎡未満であり、かつ、宿泊施設部分の床面積の合計が300㎡未満である場合の措置
- この場合、感知器を天井等にネジ等で取付ければよいものとなっており、特別な工事は必要ない
- さらに、宿泊施設部分の床面積の合計が建物延べ面積の10%以下であるときは、宿泊室の存する住戸部分以外は感知器不要
誘導灯の設置免除等
廊下の開放性等の一定の条件に適合する場合に、宿泊施設部分が存する階以外の階※は設置を不要とする規定を整備 (消防法施行規則等の一部改正(2018年6月1日施行))。
※住戸間の延焼のおそれ等が少ない構造を有する開放廊下の共同住宅で、宿泊施設部分として利用する各住戸が100㎡以下かつ住宅部分の床面積の合計が建物延べ面積の2分の1以上となる場合は、全ての階
各宿泊室に携帯用照明器具(懐中電灯等)を設置する等の条件に適合する場合は特例を適用し、宿泊室内の誘導灯の設置を免除するなど、危険性に応じた対応について自治体(消防本部)に通知(2018年3月15日)。
申請書類等の合理化
添付図面等について、住宅宿泊事業法の規定により届出等に添付することを予定している平面図を最大限活用することや、既設の消防用設備等の設置状況の確認に際し、消防署等に対して過去に届出された書類により確認できるときは、当該書類の写しの添付は省略して差し支えないことを通知(2019年1月10日)。
(2019年)「成年被後見人に該当しない旨の後見等登記事項証明書」が不要に
2019年9月には成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化を図るための関係法律の整備に関する法律に基づく住宅宿泊事業法の改正に伴い、住宅宿泊事業の届出に必要な添付書類のうち、「成年被後見人に該当しない旨の後見等登記事項証明書」の提出が不要になりました。
提出すべき書類が簡素化されて、民泊を始めやすくなっています。
(2020年)「水質汚濁防止法上の特定施設の届出」が不要に
2020年12月に水質汚濁防止法施行令が改正し、住宅宿泊事業の届出に最低限必要な要件のうち、「水質汚濁防止法上の特定施設の届出」及び「下水道法に基づく使用開始届出の提出及び水質の測定の実施」が不要となりました。
これまでは民泊の届出を提出した後、どんな浄化槽を使っているかなどの型番を調べたりして、「水質汚濁防止法上の特定施設の届出」等を行う手順でしたが、これが不要になりました。
(2021年)家庭用キッチンでも飲食店営業許可が可能に
飲食店営業許可を取得するための規制緩和もされています。飲食店営業許可を取得するためには、これまで家庭用とは別のキッチンが必要でした。
厚生労働省は、内閣府のワーキンググループでの議論を経て、薬生食監発0827第2号という案内を都道府県に送りました。
住宅宿泊事業を行う「家主居住型」民泊施設における施設基準等の取扱いについて、送られた文書では、以下配慮をするように書かれています。
- 現に人の生活の本拠として使用されている家屋において行われることを前提としている事業であり、特有の事情があることに鑑み、家主居住型民泊施設を営業場所として、宿泊客に対してのみ食品を提供することを目的に営業許可申請がなされた場合、適切な衛生管理の下、家庭用台所と営業で用いる調理場所の併用等を可能として差し支えないこと。その際、手洗い、便所、更衣場所、床面及び内壁の材質の取扱い等についても併せて配慮願いたいこと。
- 各都道府県等においては、上記を踏まえ、関係部局間で十分に協議を行い、必要に応じ、条例改正の検討や施設基準を斟酌する等の弾力的運用を行う等、適切に対応すること。なお、その際、家主居住型民泊施設である旨の確認、照会方法についても予め整理しておくことが望ましい。
- 家庭用台所と営業で用いる調理場所の併用等を可能とした場合であっても、食品の安全性の確保の観点から、一般衛生管理や HACCP に沿った衛生管理に係る規定は遵守する必要があること。
茨城県に問い合わせてみましたが、茨城県では「考えていない」という回答でした。内閣府のワーキンググループで議論がされて、規制緩和を求めても、一担当者が検討しなければ実施されないみたいです。
都道府県において対応が違うみたいなので、この規制緩和に基づいて食品店営業許可を取得したい場合は、各都道府県または保健所まで問い合わせてみてください。
厚生労働省 薬生食監発0827第2号
(2023年)管理事業者要件を緩和へ
国土交通省は、民泊の物件を管理する事業者の要件を緩和し、2023年度中に運用を始める方針のようです。
家主が住んでいない民泊「家主不在型」の場合などは、清掃や苦情に対応するため原則として管理事業者に委託することが義務づけられています。
これまでは、管理事業者に登録できるのは宅地建物取引士などの資格がある人に限定されていましたが、研修を行うことで事業者登録できるようになる見込みだそうです。
まとめ
この記事では、民泊の規制緩和の最新動向について紹介しました。
さまざまな規制緩和が進み、届け出を出す必要のあった文書が減ってきています。また飲食店営業許可も取りやすくなっているようです。
これからも規制緩和は進む可能性があるので、私たちも最新情報をキャッチしていきたいと思っています。この記事を読んで、これから民泊を始める参考にしていただけたら幸いです。ではまた。