田舎暮らしを始めたら、ペットとしてだけでなく除草(草刈り)のお手伝いをしてもらう目的でヤギを飼おうと考える方は多いと思います。
実際、ヤギは除草のお手伝いにはふさわしいのでしょうか?ふさわしいとしたら、どれくらい除草効果があるのでしょうか?気になるところですよね!
ということで、実際に地方暮らしをしながらヤギを2頭飼育し、除草のお手伝いをしてもらっている筆者が解説をしてみます!
この記事では、ヤギの除草効果について(食べる量、知っておきたいヤギの習性)、ヤギが活躍するための条件(季節、天気、場所)、をご紹介しています。
これで、ヤギがどれくらい草刈り隊として働いてくれるのか、イメージがわきますように!
※この記事では、除草=放牧のうえ草を食べてもらうこと、と捉えています。
ヤギの除草効果について
どれくらい食べる?
念のため初めに断っておくと、ヤギたちは立派な家族であり、除草のためだけにいる家畜ではありません。ヤギの除草は、あくまで彼らが気持ち良い環境で、自由にのびのびお腹一杯エサにありつけて、幸せに生きている過程で得られる副次的効果と考えています。
さて本題ですが、ヤギは除草に役立つ・役立たないで言えば、まあまあ役立つと思います。敢えて「まあまあ」という表現を使う理由は後で説明します。
ヤギは雑草、樹木の葉、落ちた果実、枯葉、落ち葉、細かい枝、くず野菜、など幅広くいろいろなものを食べてくれます。一日の様子を見ていると、食べているか反芻しているか、のどちらかといった感じです。
食べる量について計測するのは難しいですが、一頭あたり一日でコンテナ一杯分以上の草を食べていると思われます(小型品種トカラヤギの話なので、大型品種のヤギさんはもっと食べると思います)。
これは、人工的にエサを与える際にコンテナ一杯分以上の量を食べることから、勝手に推測したものです。実際はもっと少ないかもしれないし、多いかもしれません。
除草とはまた少し話が違ってきますが、人の手で刈り取ったものの後処理をしてくれる(=食べてくれる)のもありがたい点ですね。草刈りや樹木の剪定時に出た、ある意味ゴミになってしまうような草も食べてくれます。
とにかく草をたくさん食べる動物というのは、間違いないでしょう。
知っておきたいヤギの習性
意外と知られていませんが、ヤギは難しい言葉で「木本(もくほん)採食者」と言われます。
木本(もくほん)とは普通に言う「木」のことです。つまり、シカと同じく樹木が大好き!ということですね。
逆に言えば、食べられたくない樹木が近くにある場合は、要注意です。
以前、庭に植えたばかりの柿の木を食べられてしまい、木が死にかけたことがあります。それ以降は、電柵(でんさく)で近付けないようにし、なんとか蘇りました。
ところが草地には樹木が生えていないので、そうすると今度は「先端採食者」と言われるようになります。
これはつまり、葉の先っぽだけをかっさらっていく習性がある、と考えてもらえればいいと思います。
地面に生えている草を食べる姿を観察すると分かるのですが、上から下まで丸ごと食べることはほとんどないですね(葉による)。
頭を左右交互に振りながら、先端部分を次々と食べていっているようです。
ヤギが活躍できる条件
先ほどヤギは除草に「まあまあ」役立つとお伝えしましたが、なぜ超役立つではなく「まあまあ」なのか理由をご説明します。
これはあくまで個人的な感想も含みますが、活躍できる条件が意外と厳しいからです。
特に季節、天気、場所の3つを選びます。
どういうことか、以下から詳しくお伝えしていきます!
天気
まず天気に関して、ヤギは「雨の日」は完全休業です(笑)
大雨のときはもちろん、小雨でも草地に出たがりません。ヤギは、雨、湿気、濡れた場所が非常に苦手です。
そのため梅雨の6~7月にかけては、雑草がぐんぐん伸びるシーズンですが放牧できないので、除草効果はあまりありません。
むしろ、飼い主が雑草を採ってあげて、それを与えるかたちになるため、手間が増えます(犬や猫と同様、完全なるペットですね)。
季節
例えば日本の四季を以下のように分けて考えてみます。
- 春4,5,6月★
- 梅雨7月
- 夏8月
- 秋9,10,11月★
- 冬12,1,2,3月
このうち我が家のヤギが活躍しているのは、★を付けた春と秋の約6カ月(半年)くらいです。
それ以外の梅雨、夏、冬は活躍できるとは言い難い状況です。
まず「梅雨7月」に関して、先ほどもご説明したようにヤギを雨のなか放牧することは難しいです。嫌がりますし、大きな声で鳴いたりしますので、小屋にステイです。
続いて「夏8月」に関して、ヤギは発汗できない体のため、熱中症にかかりやすい動物です。特に黒い毛皮をしたヤギは熱を吸収しやすく、暑さにとても弱いです。熱中症防止のため、なるべく日陰の風通しのよい小屋でステイします。
続いて「冬12,1,2月」に関して、そもそも草が枯れてしまいますので、放牧しても食べ物がありません。樹木が豊富な場所なら話は別ですが、平坦な草地は放牧に適した場所とは言えなくなるでしょう。
場所
ヤギを放牧する際は、平地を選ぶのが無難です。
それでも、起伏がある場所をヤギに除草してもらいたいときは、一番低い位置に繋牧器(けいぼくき)や杭を設置します。
繋牧器を一番低い位置に設置する理由は、「首吊り事故」の防止にあります。
高いところに杭を打ってしまうと、ヤギが足を踏み外したときに、首を吊って死んでしまうことがあるそうです。それを防ぐために、起伏がある場所では、一番低い位置で杭を打ちます。
平たい草地の除草だけでなく、急斜面の除草を期待する場合には、杭を打つ場所を慎重に選ぶ必要があることをお忘れなく!
ちなみに我が家には急斜面が多いのですが、ヤギの安全確保のほか土地所有者の関係もあり、一番低い位置に杭を打つことは難しく、急斜面で放牧させることはしていません。
よって(うちでは)斜面の除草はヤギに期待できません。
まとめ
これを多いと思うか、少ないと思うかは、飼い主さんの考え方次第だね。
ここまでヤギは除草に役立つのか?というテーマでお話してきました。飼育環境によって効果の感じ方は様々だと思います。
「自ら率先して食べてもらう」という意味においては、正直に言うと、我が家では除草に役立っている感覚はあまりないかもしれません(笑)もちろん「人が採ってあげた草」はペロッと平らげますけどね。ではまた。
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