前日まで元気だったはずのヤギが急に嘔吐し始めた時、飼い主としてどのようにサポートしてあげればいいのでしょうか?
初めてのことだと、とにかく心配になりますよね。不安な気持ちは痛いほど分かりますが、とりあえずは落ち着いて、しっかりと対処してあげましょう。
手順としては、まず原因が何かを探ります。そのうえで、自宅で対処するか病院に連れていくか、をヤギの体の観察によって判断します。具体的にはどうしたらいいのでしょうか?
ということで、実際にヤギの嘔吐と対処を経験した筆者が解説をしてみます!獣医さんのアドバイスのもと処置を行ったところ、無事に回復しました。
この記事では、ヤギの嘔吐症状(フランクの場合)、獣医さんのアドバイス、今後の教訓、をご紹介しています。
これでヤギが嘔吐してしまった時の対処法が理解できますように。良くなることを切に祈っています。
ヤギの嘔吐症状(フランクの場合)
嘔吐事件は2021年5月1日、我が家で飼っているトカラヤギのフランク(2歳・オス)に起こりました。
その日は休日で、私より早く起きた夫がフランクの不調を発見します(朝7時半頃)。
フランクの様子を見に行ってみると、これまで聞いたことのない鳴き声を出しながら、小屋で佇んでいるフランクの姿が。
メエメエという、いつものヤギの鳴き声ではなく、高めで弱々しいクウーーンという鳴き声です。
何度も頭を振って、喉の奥から吐いている様子だった。
吐しゃ物は、酸っぱめの強い異臭がしました。見た目は、草をすり潰して水分を混ぜたような感じです。
嘔吐は一度で終わらず、何度も繰り返されました。数分~数十分おきに、少量を吐き続けていました。勢いよく出ることもあって、小屋の壁はとんでもないことに……。
朝8時頃に嘔吐を確認し、お昼の12時頃までそんな様子でした。最後の方は水だけを吐いていることもありました。
限界かもしれないと思い、獣医さんに相談することにしたよ。
獣医さんの探し方については以下の記事をご参照ください。
獣医さんのアドバイス
原因を探ろう
獣医さんにフランクの症状をお伝えしたところ、嘔吐の原因は以下が考えられると教えて頂きました。
- 青草中毒
- 毒草による中毒
- 農薬による中毒
- 異物混入(ナイロンの紐など)による中毒
最も可能性が高いのは「青草中毒」とのことでした。
青草中毒とは、雨上がりの草を大量に食べることで起こる中毒だそうです。雨上がりの青草は特定の成分が増える傾向があるそうで、ヤギにとっては害があるのだとか。
特に若いオスは食欲旺盛で、普段からご飯を食べすぎてしまうこともあり、中毒になってしまったのでは、とのことでした。
……これはもう獣医さんのご指摘通りかと。
青草中毒になると内臓の動きがストップし、ヤギにとって大切な反芻ができなくなってしまうそうです。
自宅で対処or病院を判断
中毒が起きた時、緊急性が高いものは手術によって対応するしかない場合もあります。緊急か否か、ヤギの体を見て判断しましょう。
獣医さんによると、判断ポイントは以下です。
ヤギを真後ろから見て、左側の腹部が異常に膨張している。
後ろ足の付け根と背骨あたりにあるはずの、三角形の窪みが消えるほどお腹が膨らんでいたら赤信号!
自宅でできる対処法
獣医さんの指示のもと、フランクに行ったことは以下です。
- 絶食させる
- 絶飲させる
- 太田胃散を飲ませる
- フンが出るのを待つ
詳しくお伝えしてみます。
絶食させる
まずは絶食するよう指示がありました。
ただ、嘔吐してからヤギも食べ物を求めなかったため、自然とそうなっていました。結果的に24時間は絶食時間があったと思います。
絶飲させる
絶飲については少々意外でした。水飲まなくて大丈夫なのかな?と心配しましたが、獣医さんを信頼するしかありません。
結果的に昼過ぎ~翌朝までの15時間以上、絶飲時間がありました。明け方、水を飲みたい素振りを見せるようになったため、水を与えました。口をゆすぐようにたくさん飲みました。
太田胃散を飲ませる
ヤギの体重10キロにつき1袋の太田胃散を少量の水で溶かし飲ませる、ということでした。
太田胃散は薬局などで手軽に購入できる、生薬の良さを活かした胃腸薬です。16包入って600円程度で買えます。
昼夜二回飲ませました。水に溶かしてシリンジ(注射器に似た容器)に入れ、ヤギの口元から注入です。
ユーチューブにはヤギへの薬の与え方、といった動画もあるので参考にしました。お薬に慣れていないヤギちゃんにとっては、なかなか難しい作業になると思います。
シリンジは便利グッズなので、常に自宅に置いておくようにしましょう。我が家にも偶然置いてあったので助かりました。
フンが出るのを待つ
フランクが嘔吐してから24時間が経過し、再び朝がやってきました。
水を飲み出して、動きも元気になってきました。食べ物にも興味を持つようになってきました。ほんの少し牧草をやってみました。するとむしゃむしゃと食べ出したので、もう少し与えてみました。
その後、しばらくすると無事にフンが出ました。
たしかに嘔吐している最中は一切フンが出ていなかったなあ……。
症状がよくなるにつれてフンの回数も増えてきました。最初は茶色く乾燥したフンでしたが、徐々に黒くて艶のある健康的なフンへと変化していきました。
一時はどうなるかと思いましたが、何とか元気に復活してくれました!
今後の教訓
今回フランクが陥ったのは、獣医さんのご指摘通り「青草中毒」ではないか、と思っています。
先ほどもお伝えしましたが、青草中毒は雨上がりの青草に増える中毒成分を多量に摂取することで起きてしまいます。
オスはたくさん食べたがるので、食事量を調節してあげることも大事なんだなと今回の事件でよく理解できました。
まとめ
ここまでヤギが嘔吐した場合の対処法についてご紹介してきました。
記事内では我が家のフランクのパターンをご紹介してきましたが、一頭一頭に個別の事情があると思いますので、念入りに症状の観察を続けてあげることが回復への近道だと思います。ではまた。
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