これから就農したい人、農的暮らしに興味がある人などにとっては、実際の農業現場がどんな感じなのか気になるところだと思います。「農業」は知識やイメージが先行しがちですが、実際のところをきちんと把握しておきたいですよね。
ということで、夫婦それぞれが経験した「農業体験」のリアルな様子をお伝えしてみます!私たちは出身地、出身校などは全く異なりますが「農業に興味があった」という点が重なっていました。
この記事では、農業体験の心得、種類、各自の経験談4種類、をご紹介しています。
これで、就農前に各自に向いていそうな農業体験が理解できますように!
農業体験の心得
いつか就農したいけど、農業の現場が実際はどんな感じなのか把握するため「農業体験」してみる方も多いのではないでしょうか?
一言で「農業体験」と表現されることが多いですが、実はその種類は様々です。
お金を払って収穫を楽しめるものから、一定期間一緒に働かせてもらいながら学ぶガチなもの(無償・有償)まで、いろいろなレベルの体験があります。
この記事では、就農を目指す方が「幅広い農業」を体験することを前提に、私たち夫婦が体験した農業の現場についてお伝えします。
農業体験をするのに活用しやすい「ボラバイト」「WWOOF」という制度も紹介していますので参考にしてください。
そのうえで、長期の農業研修の様子が知りたい方は以下の記事もぜひご覧ください!
WWOOF
WWOOF(ウーフ、World Wide Opportunities on Organic Farms)とは「世界に広がる有機農場での機会」の頭文字です。WWOOFは、有機農場を核とするホストと、そこで手伝いたい・学びたいと思っている人とを繋いでいます。
ホスト:
ホスト会員になった人と家族のこと。受入先。ウーファーを家族のような友達とみなして一緒に生活し、学び、交流します。3食の食事と寝る場所を提供します。
ウーファー(WWOOFer):
ウーファー会員となった人。ホストの元でWWOOFの体験をする人。旅人。学習者。1日6時間程度、ホストの手伝いをする代わり、食事と寝る場所を提供される。ウーファーは、ホストの友達であり労働者ではありません。
WWOOFにより、旅をするように様々な有機農業者の元で暮らすことが出来ます。就農前の若いうちに、いろいろな価値観、栽培方法、経営方針を見て回ることが出来ます。
ボラバイト
将来の就農を見据えて、他の農家で働いてみたい方にオススメの制度です。
ボラバイトは農業、牧場、ホテルやペンション・キャンプ場のアルバイト求人サイトです。
食事と宿泊を提供してもらい、ボランティアとアルバイトの間くらいの給料で仕事を体験することが出来ます。
私たち夫婦は、それぞれ1回ずつボラバイトを活用していますので、体験した内容を一部紹介します。
(体験談)ダイコン農家でのボラバイト
ダイコン農家でのボラバイトは、結構体力勝負です。毎日、軽トラ6台分のダイコンを収穫し、機械で洗浄・箱詰めを行いました。ボラバイトの期間が収穫時期だけであったため、種まきや収穫前の管理作業は体験できません。
効率的な収穫作業、畑の中を軽トラでまっすぐバックするなどの運転などを学ぶと共に、きれいな大根(単一作物)を同じ市場に出荷し続けることにより市場内で評価され価格が安定するなど流通の仕組みを知ることが出来ました。
平日の食事は、一緒に食事が出来たため、農業経営についてのお話を聞かせてもらう良い機会でした。
(体験談)イチゴ農家でのボラバイト
とちおとめの生産農家でお世話になりました。私が行っていた作業は、早朝~昼前までイチゴの収穫、昼過ぎ~夕方までパック詰め、毎日この繰り返しでした。いちごの収穫は腰を曲げての作業になるため、腰痛になりました。いちごの上手なピッキング方法を覚えました。
一人で参加したのですが、現場へ行ってみると中国人やインドネシア人のスタッフが多く驚きました。なかには自分と同じ年齢かそれ以下の若い方もいました。オーナーがお世話してくれることはなく、インドネシア人のお母さんが色々と教えてくれました。
一棟の平屋と車をお借りし、一人で自炊して過ごしました。お米とイチゴはもらうことが出来ました。その他の材料は、近くのスーパーで買い出ししました。受け入れ先家族との触れ合いは一切ありませんでした。
単一栽培の農場の様子を知れた貴重な機会でした。また、農業現場における外国人労働者の環境を垣間見ることとなりました。一番仲良くなった女の子は、いつか中国へ帰って八百屋をオープンさせたいんだと夢を語ってくれました。
インターン
WWOOFやボラバイトに限らず、農業体験・研修を受け入れている農場はたくさんあります。本やブログを読んで、共感した農業法人で農業体験をしてみてもよいでしょう(もちろん受け入れを行っている場合ですが)。
(体験談)山梨県の農業法人でインターン
夏休みの1週間を使って、サラダボウルの農業体験を申し込みました。
サラダボウルでは、多くの若い社員が、将来の独立を目指し働いています。当時は、ナスの収穫で忙しい時期で、朝4時からナスの収穫を行い、昼前から袋詰め作業、夕方に2回目の収穫を行うといった内容でした。
社宅があり、研修生は相部屋・2段ベッドでの生活です。朝から晩まで働いていたので、夜は倒れて寝るだけでした。忙しい季節だったからかもしれません。
サラダボウルでは、たくさんの社員がいるため、道具の管理を徹底していました。確かに、農業の現場では、鎌を畑に置き忘れることなどよくあります。そのようなことがなくなるように、道具にはナンバリングし、誰がどの道具を使っているか書き留めるようにしていました。このような現場のテクニックを学べるのはとても貴重でした。
また、水田でナスの栽培を行っており、コメの需要が下がっている現代において、水田を活用できる方法を考える良い機会となりました。
研修させていただいたサラダボウルの田中進さんの著書は以下です。
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収穫体験
これから就農を考えている皆さんの中には、野菜を売るのではなく、体験を売りたいと考えている方もいると思います。その場合は、体験を受け入れている農場を見学するのが勉強になります。
お金を払って体験する分、WWOOFやボラバイトより気軽です。
(体験談)暮らしの実験室やさと農場
その季節の農作業を、スタッフと一緒に行えるほか、鶏や豚、犬・猫・ヤギと一緒の空間でのんびり過ごすことが出来ます。子供料金も設定されていますので、「農業を楽しみたい」、「農業について考えたい」という方にオススメです。
研修会に参加
就農希望者向け、就農者向けに地方自治体やJAが研修会を開催しています。他の現場を学びたい場合はこれらに参加するのもアリだと思います。
アポなしNG/できれば制度内で
この記事では、新規就農したい方が就農前に、いろいろな農業経営を見て学ぶことを推奨しています。
多くの農業者は「見学したいです」と連絡すると受け入れてくれるかもしれません。しかし貴重な時間を割く行為です。特に繁忙期は迷惑です。そのためWWOOFやボラバイトなど既存の制度を使うことが望まれます。
どうしても勉強させていただきたい事業者がいる場合、丁寧にお願いして受け入れてもらいましょう。もちろんアポなしはNGです。農作業をしていると話しかけてくる方もいますが、仕事中なので質問したりするのはやめましょう。
まとめ
私たち夫婦が体験した4つの農業体験を紹介しました。農業体験といっても、「収穫を楽しみたい」という気軽なものから、「就農前に勉強させてください」という感じのガチなものまでありますね。
どちらにしても、就農するときにどんな農業をするのか参考になると思います。
長期の「農業研修」では年間を通した作付けや、作物を生産・出荷する全工程を学ぶことが出来ますが、短期間の「農業体験」ではそれは出来ません。
一方、短期であることはたくさんの経営体を見ることが出来るというメリットがあります。収穫時のスキルを学ぶだけでなく、販路や経営哲学を学ぶこともできます。
このブログを参考に、よりよい就農を、よりよい農業体験をしてくれることを願っています!