お庭の空いているスペースを使って家庭菜園をしようと思ったとき、最初に何から作ったらいいか迷いますよね。
このブログの中では、農学部を卒業して、5年間農業経営をしてきた筆者が「はじめやすい」をテーマに気軽に家庭菜園をスタートできるような方法を紹介していきます。
今回の記事のテーマは「ジャガイモ」です。
家庭菜園をはじめるときにおすすめの野菜は何か調べると、ほぼ野菜一覧みたいなウェブページが出てきます。「結局、好きな野菜を作れってこと?」みたいな。
確かに、好きな野菜にチャレンジすることはとっても大切です。ただ、畑を始めたばかりの土の状態で、なんでも成功するとは限りません。
この記事では、2月、3月から家庭菜園を始める方に向けて、ジャガイモから始めることを提案しています。以下、ジャガイモを推す理由、ジャガイモの作り方について紹介します。
ジャガイモがおすすめな理由
以下に、家庭菜園を始めるときにジャガイモがオススメな理由を紹介します。
(1)作りやすい
新たに家庭菜園をするとき、まだ土が畑に適した土になっていないことが多いと思います。そのため、どんな野菜でも上手に作れる状態ではないことを理解する必要があります。
そこで、ある程度つくりやすいジャガイモから始めることをおすすめします。「そこは土が良くないからとりあえずジャガイモをつくってみな」みたいな会話がよくあります。
(2)たくさんできても大丈夫
野菜を作ると、たくさんできて食べきれないという嬉しい悲鳴もあります。ジャガイモは保存が可能なので、慌てずに少しずつ食べることが出来ます。
洗わずに、表面の土を乾燥させた後、日のあたらない涼しい場所に、段ボールやコンテナなどに入れて保存しましょう。
(3)種芋が高くない
ジャガイモは、「種芋」とよばれる昨年収穫して保存した芋を植えて育てます。
その種芋はホームセンターでは1kg300円程度で売られていますので、安く入手することが可能です。
たくさんの種類が売られていますが、メークイン、男爵、キタアカリなど定番の品種から作るのがいいと思います。何種類かつくる場合は、お試しで珍しいものも作ってみてください。
ジャガイモの作り方
ジャガイモの栽培は、マルチを使う方法と、使わない方法があります。
マルチを使う方法
- 地温を確保して生育が早い(早植えや早採り)
- 雑草対策になる
- 費用が掛かる
マルチを使わない方法
- 追肥しやすい
- 草取りが大変
- マルチの購入コストは不要
今回は、マルチを使わない方法で、季節ごとの作業を解説していきます。
(1)畑の準備
1~2週間前くらいには堆肥をいれて、耕しておきます。
初めて家庭菜園をする方で、イチから土づくりから始める方は、以下の記事を参考にしてください。
(2)種芋の購入
ホームセンターで種芋を購入します。種芋は芽や根が最初に育つための養分で、1つの種芋からたくさん芽が出ます。芋の凹んでいるところが芽の出るところです。
ピンボールくらいの種芋が売られていることもありますが、小さいからカットして植えにくく、まるのまま植えると芽がたくさん出てきて、芽かき作業が大変なのでおすすめ出来ません。小さすぎない普通サイズの種芋を選びましょう。
でも、安かったりすると、気分で買ってしまうこともあります。絶対ダメということではありません。
一緒に「草木灰」を購入しておきます。
(3)種芋の準備
種芋は2~3個にカットして使います。単純に大きさでカットするのではなく、芽の数を見て、芽の数が均一になるように切っていきます。
切り口には、購入しておいた草木灰などをつけます。草木灰がない場合は、表面を乾燥させて使用するという方法もあります。これは、種芋が腐敗するのを防ぐためです。
(4)植え付け(2月末~3月)
畑には畝(うね)を作らずに、フラットな状態にしておきます。
ジャガイモの植える間隔
- 畝幅……約60cm
- 株間……約30cm
まず「三角ホ―」や「スコップ」などを使って、60cmごとにジャガイモを植え付けるラインをつけておきます。
そのライン上に30cm間隔で種芋を並べ、10cm(こぶし1個分)くらいの深さに植えます。
種イモ間に堆肥をひとつかみ入れてあげるといいでしょう。
(5)土寄せ(4月初旬)
ジャガイモの芽が出始めたころは、まだ霜が降りる可能性があります。ジャガイモを植えたラインとラインの間の土を、ジャガイモの芽を被せるように、土寄せします。
これは、除草の意味もあります。
(6)芽かき(4月下旬)
「芽かき」は、種芋から伸びた芽を取り除き、1株あたりの芽の数を減らすための作業です。芽かきをしないと芽の数が増え、養分が分散して芋が大きくなりません。
茎が黒く、色の濃い丈夫そうな芽を2~3本残して他の芽は取り除きます。
(7)土寄せ(5月初旬)
もう1回土寄せします。この頃になると芽も大きくなってきていますので、芽に土がかからないようにします。
芋は、土寄せしてできた畝の中に出来るので、畝がある程度のボリュームになるようにしましょう。
(8)収穫(6月下旬)
収穫目安は、茎や葉が枯れてからです。まだ茎や葉が緑色であれば、芋がまだ大きくなります。収穫時期を待って、掘りましょう。
保管は、芋を洗わずに、表面の土を乾燥させた後、日のあたらない涼しい場所に、段ボールやコンテナなどに入れて行ってください。
まとめ
野菜の種類はたくさんあって、どんな野菜が作りやすいのか迷う方が多いと聞きます。食べたい野菜を作ってみるというのが、楽しいと思いますが、今回は「失敗しない」ことを重視して、誰でも、どんな畑でも育ちやすいジャガイモについて紹介しました。
この記事が、家庭菜園をはじめるときの参考になれば嬉しいです。ではまた。