法人格のない個人事業主でも応募可能な「小規模事業者持続化補助金」にいざ申し込もうと思った時、「経営計画」の書き方で悩まれる方は多いのではないでしょうか。特に初めての場合は、何を書いていいのかさっぱり分かりませんよね。
ということで、この補助金に実際に申請・採択された経験のある筆者が解説をしてみます!私たちは自宅の空き部屋で民泊を運営していますので、特に同業者の方にとってはイメージがしやすくなるのではと思います。
この記事では、そもそも小規模事業者持続化補助金とは、申請に必要な「経営計画」の書き方(4つの項目ごとに)、をご紹介しています。
申請書の書き方で迷われている方にとって、少しでもヒントになりますように!
小規模事業者持続化補助金について
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓などに50万円(補助率2/3、特例の場合は100万円)が補助される補助金です。法人格がない個人事業主でも活用できます。
小規模事業者持続化補助金についてまだ知らない方は、まずは以下の記事で概要を掴んでみるのがおすすめです。民泊での活用事例も含めて紹介しています。
「経営計画」の書き方
小規模事業者持続化補助金の申請書類は、主に以下2種類です。
- 経営計画
- 補助事業計画
その他に、「応募者の概要」や「確認事項」(応募要件を満たしているかチェックを付けるところ)がありますが、それほど難しくはありません。
ですので、この記事では「経営計画」の書き方を紹介します。
「補助事業計画」については以下の記事で紹介中です。
「経営計画」と「補助事業計画」(Ⅱ.経費明細表、Ⅲ.資金調達方法を除く)は最大8枚程度までになっています。
所定の様式で、経営計画は以下の4項目に分かれていますので、それぞれ解説していきます。
- 企業概要
- 顧客ニーズと市場の動向
- 自社や自社の提供する商品・サービスの強み
- 経営方針・目標と今後のプラン
【1】企業概要
ここでは、以下が必須項目と考えられます。
- 開業年月日
- 店舗の場所・立地
- 業種
- 営業時間
- 組織構成
- 事業概要
- 売上・利益の大きいサービス
私たちの例:
- 令和2年8月に開業した民泊(宿泊業)
- 日本で2番目に大きな湖である霞ヶ浦を展望できる場所に位置
- 夫婦で運営
- チェックイン16:00~22:00、チェックアウト:10:00
- 宿泊料金:素泊まり4200円/人、別途清掃料1,000円/組
- 宿泊予約サイト「airbnb」により集客を行っており、開業から間もないが既に週末には、小さなお子さんのいるご家族や、若い夫婦などから予約が多く入っている
【2】顧客ニーズと市場の動向
ここでは、以下について書きましょう。
- 対象顧客
- 対象顧客のニーズ
- 市場環境(お客様を取り巻く環境)
- 競合他社(ライバル企業)
- 過去から将来への見通し
私たちの例:
- 宿泊実績がある小さなお子さんのいるご家族や、若い夫婦などを中心に、茨城県へ観光に訪れる旅行者(1組あたり2~4名)からの利用がある。
- 利用者からの聞き取り調査により、日本家屋への宿泊や地域住民との交流、自然豊かな場所で休暇を過ごしたいなどが目的とされていた。一方、当民泊施設へのお問合せとして、エアコンの有無がある。日本家屋での宿泊を体験したい一方、快適であることが望まれている。
- 周辺の民泊施設は、当民泊施設の他には〇軒ある。Aは(20,000円/泊・定員8名)、B泊は(5名まで25,000円/泊・定員10名)、Cは(4名まで15,000円/泊)である。また、周辺市町村においても〇〇が多く、XXの民泊施設はほとんどない。
- 当民泊施設が開業から既に予約が多いことを踏まえ、少人数で利用できる古民家のニーズがあると考えられるが、事業の継続のためにはより快適な空間にするための工夫が求められている。
【3】自社や自社の提供する商品・サービスの強み
ここでは、3つの論点は記載する必要があると思います。
- 自社の強み
- 自社の商品・サービスの強み
- 自社の商品・サービスが顧客に評価されている点
「自社の強み」、「自社の商品・サービスの強み」については、できるだけアピールしましょう。アピールにあたっては具体的な数値を入れると、具体性が増します。ここでも、写真などを入れると分かりやすくなると思います。
「自社の商品・サービスが顧客に評価されている点」については、これまでに民泊を利用した方の声(お客様の声)を書くと分かりやすいです。
私たちの例:
- 当民泊施設は、築47年の日本建築を活用した民泊であり、日本らしい暮らしを体感することが出来る。
- 敷地内からは、霞ヶ浦と筑波山が展望でき、空気が澄んだ日には富士山を望むことも出来る。
- ヤギと触れ合うこともできる。
- 料金体系も少人数で利用しやすくなっており、小さなお子さんがいても気にせずに楽しむことが出来る(乳児:無料)。
- お客様の声の例(箇条書き)
【4】経営方針・目標と今後のプラン
ここでは、以下を書く必要があります。
- 経営方針
- 目標(展望)
- アクションプラン
これまでに書いてきたことを踏まえて、今後にどうつなげていくかを書く箇所になります。
審査では、「経営方針・目標と今後のプランの適切性」が加点項目となっていて、
- 「自社の強み」を踏まえた「経営方針・目標と今後のプラン」になっているか?
- 「対象とする市場(商圏)の特性」を踏まえた「経営方針・目標と今後のプラン」となっているか?
が大切です。
「経営方針」というと、事業への想いや情熱を書く方や、売上目標のみを書く方もいらっしゃるそうです。
ここでは、「課題→解決策→期待される結果」という流れの中で、補助金を活用することにより、中長期的にどういった事を実現していくのか?について書いたらいいようです。
私たちの例:
- お客様からは高い評価(airbnbレビュー)を頂いているが、より快適な空間づくりに徹するとともに、出来るだけ多くの人に利用していただけるような施設を目指す。
- 3年間の売上・利益の目標額を記載
- 具体的なアクションプランを記載(●月:〇〇の設置工事開始、●月:ホームページの刷新、など)
- 〇〇の導入により顧客満足度の向上を図る(購入物品のすべての目的を記載するとよい)
まとめ
私たちの事例を使って、出来るだけ具体的に解説しました。実際に事業計画を書くときは、みなさんの経営に合わせてより詳細に、より具体的に書いて頂けたらと思います。また、経営計画と併せて「補助事業計画」についても書く必要があります。補助事業計画については、次の記事を参考にしてください。
実際に補助金を申請される場合は、少しずつ変更になる場合があるので、最新の公募要領を読んでください。また、すぐに挑戦することは考えていないけれども、中長期的に補助金の活用を考えている方は、商工会の開催する「起業ビジネスプラン塾」がオススメです。
民泊を経営している皆さんが、小規模事業者持続化給付金を活用するお役に立てれば嬉しいです。