庭や畑に生えてきては、他の植物に巻き付く「ヤブカラシ」。春から夏にかけては、抜いても抜いても生えてきて、どう対処したらいいのか困ります。
この記事では、ヤブカラシに悩まされてきた筆者が、ヤブカラシの対処方法を説明します。
具体的には、ヤブカラシがどんな植物で、なぜ厄介なのかをまとめたあと、対処方法について以下に示しています。結論から言うと、小まめに抜くこと、ヤブカラシのシーズン最後のころに草刈り機で刈ることがオススメです。
我が家では除草剤を使わない方法で除去していますが、除草剤を使って除去する場合、どのような除草剤を、いつ使ったらいいか文献調査も行ったので合わせて紹介します。
ヤブカラシってどんな植物?
ヤブカラシ(藪枯)は、「ビンボウカズラ」とも呼ばれるつる性の多年草です。
名前の通り、「藪」を「枯らす」くらい繁殖力が強く、放っておくと、つるの長さは2~3mにもなり、周辺にあるものに手当たり次第に絡み付きます。やっかいな雑草で、いったん生えてくると駆除しにくいことで知られます。
ヤブカラシが厄介な理由
野菜などほかの植物を枯らす
ヤブガラシが生えると、他の植物に巻きついて枯らしてしまいます。植物を覆うように茂るため、日光が届かなくなるためです。
被害は地上だけでなく地下にも及んでいて、地下茎が植物の根に絡み付いて健康的な成長を邪魔します。
沖縄県では、サトウキビ畑での被害が深刻なようで、「ヤブカラシ類の防除マニュアル」を作って対策を呼び掛けています。
沖縄県農林水産部「ヤブガラシ類の防除マニュアル」(平成27年3月)
繁殖力が強い
ヤブガラシは繁殖力が強いため、除去してもまた生えてきます。フェンスや野菜用ネットにも絡みつくため除草がしにくいです。
東京大学の研究によると、ヤブカラシは「ヤブカラシ以外の植物」に巻き付き、枯らす性質を持っているそうです。すなわち、ヤブカラシは、ヤブカラシには絡みつきにくく、違う種類の植物などを選んで絡みつくという事です。
植物の反映する知恵ですが、私たちヒトにとっては厄介な理由になっています。
深野祐也「Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences(英文)」(2016)
東京大学大学院農学生命科学研究科 プレスリリース「つる植物は接触化学識別(味覚)を使って同種を避けている」
スズメバチが集まる
ヤブガラシはたくさんの小さな花を密集して咲かせ、蜜を出して多くの昆虫を集めることが知られています。
茨城大学の研究によると、都市部において訪花昆虫の多い植物は、8月ヒメジョンとヤブカラシ、9月はヤブカラシであったと報告しています。
スズメバチも幼虫に花の蜜を与えるためにヤブカラシに寄って来ることが多いといわれています。
清水祐美など「住宅地域空地における開花植物と送粉昆虫の関係」(2004)
蚊のエサになる
ヤブカラシが虫たちに蜜を提供していることは、さっき書きましたが、夏に耳元でうるさい「蚊」も蜜の利用者です。
神奈川県衛生研究所は、ヤブカラシの蜜が有無で蚊の寿命の変化を調べています。蚊にマウスの血を吸わせてから、ヤブカラシの蜜を与え続けたところ「蚊の寿命」は1か月以上になったそうです。
原田文雄など「花蜜によるイエカ属成虫の飼育実験」(1971)
ヤブカラシの駆除方法
除草剤を使わない方法
ヤブカラシは、春から初夏にかけて、芽を出します。そのため1度除去するだけでは効果がありません。
私たちは、以下のように除去しています。
- 春先は見かけたら抜く
- 梅雨前後に刈払機をかける
畑での対処方法
畑では、土がある程度柔らかいので根っこごと取り除くことがオススメです。
ヤブカラシは根っこが残っているとそこから生えてきますし、根っこが細かく分裂すると、さらに増えてしまいます。
そのため畑を耕しながら、根っこを取り除きましょう。
「ヤブカラシ類の防除マニュアル」によると、トラクターにヤブカラシの根っこが巻き付いた状態で、他の畑を耕すことで、ヤブカラシが他の畑に広がってしまうことがあるそうです。農業機械を使う方は、ロータリーに絡みついた根っこなどは小まめに取り除くのが良さそうです。
除草剤を使った防除方法
私たちは、農薬を出来るだけ使わずに生活しています。
そのため、除草剤を使った方法については詳しくありませんが、「ヤブカラシ類の防除マニュアル」によると、「ヤブガラシ類の茎葉にグリホサートカリウム塩液剤を2ヶ月間隔で複数回(4回以内)散布すると、高い殺草効果が得られる。3回目の散布後からヒイラギヤブガラシの茎葉の発生が抑制され、地中の根もほとんどなくなる」そうです。
詳細は、上記リンクから沖縄県のマニュアルを参考にしてください。
ヤギで除草できる?
我が家では、トカラヤギ2頭を飼っていて、多少なりとも庭の除草に役立っています。
しかし、ヤブカラシはシュウ酸が多いためかヤギは好まないらしく、一切食べてくれません。
まとめ
この記事では、庭の木・畑の野菜に絡みつくツル性植物「ヤブカラシ」について書きました。
ヤブカラシは、たくさん生えてきて、周りの植物にも影響を与えるので厄介なのですが、それだけでなくスズメバチを呼び寄せたり、蚊の栄養になったりと、生えていて好ましくない植物だと分かりました。
私たちは「春先は小まめに」「梅雨の時期に刈払機で」対処しています。除草剤による防除方法については「グリホサートを2か月おきに3回」で根絶すると文献調査で分かりましたが試してはいません。
少しでも「ヤブカラシ」に困っている方と情報を交換し、みなさんのお悩みの助けになればうれしいです。