田舎暮らしを始めるにあたって事前に情報を入手して、できるだけ準備をしておきたいですよね。また、理想の暮らしを実現するための、アイデアや事例についても学んでおきたいものです。
そこで、読書好きでこれまで多くの本を手に取ってきた筆者が、ぜひおすすめしたい16冊について解説をしてみます!
この記事では「地方を知る」、「暮らしを楽しむ」、「仕事をつくる」、「地方で生きる思想を考える」、「さらに暮らしを展開する」の5つに分類しながら本をご紹介していきます。
これで、読みたい本が少しでも見つかりますように!
地方を知る
【1】地方消滅 – 東京一極集中が招く人口急減(増田寛也)
長く岩手県知事の職責を担い、民主党政権時には総務大臣を務めた著者が、減少を続ける若年女性人口の予測から導き出された衝撃のデータを示しています。
データから日本の未来図を描き出し、地方に人々がとどまり、希望どおりに子どもを持てる社会へ変わるための戦略を考える1冊です。
著者は、次作の「東京消滅」では東京が「若者の集まる街」から、高齢者が増加し医療・介護不足となる未来と指摘していて併せて読みたい本となっています。
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暮らしを楽しむ
【2】リトルフォレスト(五十嵐大介)
橋本愛の主演で映画化された漫画です。
手間ひまかけたスローフード、スローライフの豊かさと大変さを描いた作品です。
都会からふるさとに戻った主人公が、母の仕事を思い出しながら料理を作ったり、畑を耕したり。楽じゃないけど、しみじみと豊かさを感じる田舎暮らしの魅力に迫っています。
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【3】わたしの自然生活(C.W.ニコル)
ウェールズ生まれの作家で環境保護活動家のC.W.ニコル氏の著書です。残念ながらこの本については絶版になっていました。他の著書でも、長野県黒姫での生活についてつづられているのでお許しください。
この本では、野生動物や狩猟、森と自然の話などユーモアと愛情、時には批評も加えながら書かれたエッセイです。
C.W.ニコル氏のエッセイを読めば、自然の中での生活にあこがれるはずです。
仕事を作る
【4】半農半Xという生き方(塩見直紀)
塩見直紀氏により、自分や家族が食べる分の食料は農業(自給用)でまかない、残りの時間は自分のやりたいこと(X)に費やすというライフスタイルが提唱されています。
自給自足しながら、自分のやりたい仕事でプラスアルファのお金を稼ぐ働き方は、地方移住するときの暮らし方・働き方にピッタリです。
「X」の部分についても、今までの働き方より余裕を持ち、社会課題の解決につながるような事例が紹介されています。
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【5】月3万円ビジネス:非電化・ローカル化・分かち合いで愉しく稼ぐ方法(藤村靖之)
非電化工房・藤村靖之さんの著書。副業が推奨される中で注目度を増しています。
誰にでもできて、すぐに始められる「月3万円ビジネス」は、ローリスク・ローリターンのビジネスモデルです。例えば、月3万円稼げるビジネスを10個つくることで、30万円を稼ぐことができ、仮に1つの仕事を失ったとしても27万円は稼げることになり、リスクは回避されます。
定職に就きながら、独立を目指し少しずつ3万円ビジネスを作っていくこともできることから、リスクが少ない起業方法ともいえます。また、大手企業が進出しにくい地方において、小回りが利くビジネスにもなりそうですね。
【6】まだ東京で消耗してるの?環境を変えるだけで人生はうまくいく(イケダハヤト)
東京と地方の暮らしを比較しつつ、東京で働くメリットはないと断言するブロガー、イケダハヤト氏の著書です。
確かに、都内では家賃が高く、給料の大部分が生活コストとして失われます。「まだ東京で消耗しているの?」という挑発は、読者を選ぶかもしれませんが、地方で仕事を作ることは可能であると背中を押してくれる1冊でもあります。
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【7】田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」(渡邉格)
都内で疲弊していた著者は、31歳のときに地方にパン屋を開き、さらに3年後、東日本大震災を契機に岡山県へ移住し、パン屋を山奥に移しました。
マルクスを学び、資本主義の行き過ぎに警鐘を鳴らす著者の、生み出したものが腐り土にかえるという、生きた経済学が詰められています。
【8】ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方(伊藤洋志)
複数の仕事で生計をたてる『ナリワイをつくる』という考え方。現代社会を痛快に生きる方法論となっています。
著者はナリワイを、特別な才能や多額の元手がなくても個人で始められて、自分の時間・健康・お金と交換するのではなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事と定義しています。
分業が進みすぎた現代社会において、改めて「生きたスキル」とは何か、自分は何をしているのかを考えさせられます。
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地方で生きる思想を考える
【9】評価と贈与の経済学(内田樹・岡田斗司夫 FREEex)
内田樹氏と岡田斗司夫氏の対談で構成されている本です。
タイトルの通り、「お金」以外の経済学について、広く・深く議論されています。
現代の若者について、会社経営や結婚観などに話は及んでいますが、共同体の中で何を大切にしてどのように生きるか、新しい視点が得られます。
【10】里山資本主義:日本経済は「安心の原理」で動く(藻谷浩介)
地域エコノミストの藻谷氏の著書です。表紙がスタジオジブリの近藤勝也氏のイラストになりました。
資本主義の行き過ぎを指摘し、アンチ資本主義として、里山の資本を活かすことの重要性について、事例を出しながらの説明があります。
岡山県真庭市のバイオマス発電の話や、広島県庄原市でエコストーブをつくりながら地域おこししている事例は、目先の利益だけでない、細く長い仕事の在り方のように思えます。
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【11】ローカルな思想を創る:脱世界思想の方法(大熊孝・内山節ほか)
内山節(哲学)、鬼頭秀一(環境学)、大熊孝(河川工学)の「三人委員会」のメンバーに、木村茂光(歴史学)、榛村純一(地方自治)が加わり、次の時代を拓く思想と技術について掘り下げている本です。
それぞれが専門分野について考えを述べた後、議論するという順番になっています。
例えば、内山節氏の思想の根源が「自然と人間の関係」であることなど、これからの社会を生きる思想が語られています。
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【12】修業論(内田樹)
わたしたちは、何か行動を起こす時に「なんのために」という目的があって行動しています。
地方移住であっても、本書のタイトルにあるように「修行」するときも、何のためにやるのか疑問に思うこともあります。内田氏は「師匠の背中を見て盗む」世界観が重要であると言います。
田舎暮らしは、「修行」のような側面があります。「何やってるんだろう」、そう思うことが何度あったことか、でもそれは、いつかどこかで役に立つんです。ああ、この日のためにあの苦労があったんだと。
楽しいだけじゃない移住生活を始める前に読んでおきたい1冊です。
さらに暮らしを展開する
【13】ひらけ!オフグリッド 電線切ったら、楽しい暮らしが待っていた(サトウチカ)
東日本大震災を機にエネルギーについて考える人も多くなったのではないでしょうか。
サトウチカさんは、東京電力から供給される電線をつながずに(オフグリッドし)、太陽光パネルと蓄電池の電力だけで生活しています。
地方で生活したい人のすべてがエネルギーに興味があるとは思えませんが、新しい暮らしを始める前に、こんな考え方があることを知ってもよいと思います。
【14】地域おこし協力隊 日本を元気にする60人の挑戦
地方移住をするときに、「地域おこし協力隊」になろうと考える人も多いのではないでしょうか。地域おこし協力隊は総務省の事業で、3年間・市町村で地域おこしに携わることができます。
その3年間のうちに、その後の仕事を少しずつ作っていけるかが、定住のために重要と思われていますが、この本では60人の隊員たちの活躍についてまとめられています。
【15】ローマ法王に米を食べさせた男(高野誠鮮)
“限界集落”の石川県羽咋市・神子原地区を、年間予算60万円で立ち直らせた「スーパー公務員」のお話です。唐沢寿明主演で、「ナポレオンの村」としてドラマ化されました。
アイデアで地域がよみがえる、希望が持てる本です。【14】と並んで、地域のことを考えたい人、特に地方自治体の公務員や地域おこし協力隊を希望する人にオススメです。
【16】コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる(山崎亮)
新しくモノを作るよりも「使われ方」を考えるという視点で、建築家の山崎亮さんの取組をまとめた本です。
施設や空間を具体的につくるのではなく、ワークショップ・イベントといったソフト面のデザインをすることで、コミュニティを活性化させてきた実体験が書かれており、「かたち」のないデザインという新しい発想を与えてくれます。
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まとめ
地方に暮らし始めると、そこは何も描かれていないキャンパスのように、わたしたちが何でもできる場を与えてくれます。キラキラと輝く生活だけではないけれど、やりたいと思っている夢を実現させるチャンスは大いにあると思います。
今回、紹介させていただいた書籍は、その夢を異なる発想で実現させてくれたり、また新しい夢を与えてくれるように思えます。
今回紹介した本が、みなさんの地方移住のお役に立ったら嬉しいです!