法人格のない個人事業主でも応募可能な「小規模事業者持続化補助金」。申し込みに必要な書類の一つである「補助事業計画」の書き方で悩まれる方は多いのではないでしょうか。特に初めての場合は、何を書いていいのかさっぱり分かりませんよね。
ということで、この補助金に実際に申請・採択された経験のある筆者が解説をしてみます!私たちは自宅の空き部屋で民泊を運営していますので、特に同業者の方にとってはイメージがしやすくなるのではと思います。
この記事では、そもそも小規模事業者持続化補助金とは、申請に必要な「補助事業計画」の書き方(4つの項目に分けて)、をご紹介しています。
「補助事業計画」の書き方で迷われている方の参考になりますように!
小規模事業者持続化補助金について
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓などに50万円(補助率2/3、特例の場合は100万円)が補助される補助金です。法人格がない個人事業主でも活用できます。
小規模事業者持続化補助金について、まだ概要を把握していない方は以下の記事から読み始めることをおすすめします!
小規模事業者持続化補助金の申請書類は、主に「経営計画」と「補助事業計画」の2種類に分かれています。
まずは以下の「経営計画」の記事をお読み頂き、その後、本記事(補助事業計画について)をご覧頂くとスムーズに理解できると思います。
補助事業計画の書き方
「補助事業計画」は、申請書類を構成する重要な部分です。「経営計画」と併せて最大 8 枚程度までにまとめる必要があります(経費明細表、資金調達方法は除く)。
所定の様式で、補助事業計画は以下の4項目に分かれています。
この記事では以下の項目について、それぞれ解説します。
- 補助事業で行う事業名
- 販路開拓等(生産性向上)の取組内容
- 業務効率化(生産性向上)の取組内容
- 補助事業の効果
【1】補助事業で行う事業名
ここでは、「30文字以内で記入すること」と注意書きがありますので、絶対に30文字で納めるように書かないといけません。
30文字って、短くもあり、長くもあり絶妙な文字数ですよね。
採択された場合、事業名はホームページに公開されます。そのため、事業名を見て事業概要をイメージできるような工夫が必要です。
事業名は、経済産業省ミラサポHPで「○○○〇の開発・販路開拓」と例示していますが、例えば5W1Hの要素を少し加えて、具体的にイメージできる事業名にしたらいいのでは、という意見もありました。
【2】販路開拓等(生産性向上)の取組内容
「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」は、一例ですが以下などについて記載します。
- 事業概要
- これまでの取組との違い
- 創意工夫した点・特徴
- 事業の具体的な進め方
(1)事業概要
「事業概要」では、
- ホームページを活用し、自社の「○○」のような強みやこだわり等を発信する
- 「○○○」のような顧客のニーズにあわせた商品を開発する
などを記載します。
この欄は、補助事業計画の事業概要であることを忘れないでください。この補助金を使って、どんなことをする予定なのかを短めに記載します。
私たちの例:
- これまで大きな改装は行っていなかった。
- この補助事業を活用により、日本家屋の良さをそのままにしつつ、利便性を追求し、快適な宿泊施設として利用者の満足度向上を図る。
- 宿泊予約サイトにおいて設備面についてアピールすることで利用者増加を目指す。
(2)これまでの取組との違い
「これまでの取組との違い」では、
- 今回の補助事業がこれまでの自社の取組と違う部分
- 競合他社の同様の取組との違い
を記載します。
私たちの例:
- これらの取組により、日本家屋の良さをそのままに、より快適で安心した空間の提供が可能になる。
- これら設備について、宿泊予約サイトに掲載することで宿泊者増加が見込まれる(お問い合わせ内容として設備面の問い合わせが最も多い)。
- 近隣の民泊施設は、1棟貸の施設がほとんどであるのに対し、当宿泊施設は「おもてなし」が可能。
- 宿泊予約サイト「airbnb」に写真やアイコンで改装した点について積極的にPRを行うことが他社にない取組である。
(3)創意工夫した点・特徴
「創意工夫した点・特徴」では、
- 今取組にあたって工夫した点
について記載します。
私たちの例:
- お客様から具体的にお問い合わせがあった内容を中心にしている。
- 日本家屋の良さを維持できることを重視している。
(4)事業の具体的な進め方
「事業の具体的な進め方」では、
- 誰が、どのような方法で事業を進めていくか
- 例:〇月に△△を行う
- 例:採択後〇か月で××をする
について記載します。
具体的かつ短くまとめるといいと思います。
【3】業務効率化(生産性向上)の取組内容
「業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意項目です。
従業員の労働環境を改善するなどの取組があれば記入するそうです。
【4】補助事業の効果
ここでは、以下3点について記載します。
- 売上等への効果
- 取引先への波及効果
- 地域社会への波及効果
(1)売上等への効果
事業を実施することにより、顧客数・売上・利益率などがどのように増加するかの見込みを記入します。より細かく、具体的に示した方がいいようです。
一般的には、
- 売上高
- 利益
- 客
- 客単価などが向上することを示す
ことが多いようです。
私たちの例:
- エアコンなど設備に関する問い合わせが多いことから、これらの設備について「airbnb」に掲載することで、予約件数の50%増加を見込む。
- さらに××により予約件数の100%増加を見込んでいる。
- これらの取組を含め、売上・利益は以下を見込んでいる(再掲)。
(2)取引先への波及効果
「取引先への波及効果」では、
- 事業により、取引先にどのような効果(波及効果)をもたらすか
を記載します。
私たちの例:
- 当民泊施設の売上増加は取引先の売上増加につながるため、レンタル布団やシーツの納品業者である布団店の売上増加にも直結する。
(3)地域社会への波及効果
「地域社会への波及効果」では、
- 事業により、地域にどのような効果(波及効果)をもたらすか
を記載します。
一般的には、消費活動が活発化する、納税額が増加する、などについて書くそうです。
私たちの例:
- 宿泊者に対し地域の魅力を紹介しており、地域のイメージ向上につながる。
- 当宿泊施設は、「素泊まり」のみのため、食事は近隣の飲食店を紹介している。周辺地域の飲食店の利用にもつながると考えられる。
まとめ
小規模事業者持続化補助金に採択された私たちの事例で、出来るだけ具体的に解説してみました。実際に補助事業計画を書くときは、みなさんの経営に合わせてより詳細に、より具体的に書いて頂けたらと思います。
実際に補助金を申請される場合は、少しずつ変更になる場合があるので、最新の公募要領を読んでください。
また、「起業ビジネスプラン塾」に参加すると助成金申請に必要なビジネスの知識を学ぶことが出来ます。ぜひ参加してみてください。
民泊を経営している皆さんが、小規模事業者持続化給付金を活用するお役に立てれば嬉しいです。ではまた。