「商売」の基本は、市場が求めているモノ(私たちの場合サービス)、すなわち「市場性」の把握と、その市場内に存在する「ユーザー」を把握することです。この2点がマーケティングの始まりと考えられているそうです。
そのため、Customer(顧客・市場)、Competitor(競合他社)、Company(自社)という3つのCを分析するフレームワークである「3C分析」が基本とされています。
この記事では、「民泊を経営したいけど、実際にどうなんだろう」という疑問を解決するため、「3C分析」について解説したうえで、茨城県行方市で私たちが行っている民泊事業を例に「3C分析」を行っていきます。
「3C分析」といわれると、専門的な言葉のように思えて身構えてしまうかも知れませんが、「3つの視点で考えてみるよ」ということですので、気軽に読んでいただけるように、読みやすくまとめてみたつもりです。
この記事が、これから民泊を始めたい方の参考になれば嬉しいです。また、融資や助成金申請などにおける事業計画書づくりのお役に立つと嬉しいです。
3C分析とは
3C分析は、以下3つのCを分析するフレームワークです。
- Customer(顧客・市場)
- Competitor(競合他社)
- Company(自社)
「3C分析」と書いて、「さんしーぶんせき」と読むことが多いです。調べていると「スリーシーぶんせき」と読む方もいるみたいです。
3C分析などフレームワークを使って考えることで、経営について考えるときに、考えるべき大切な視点を抑えることが出来ます。
白い紙の上で考えていると、どうしても抜け落ちてしまう事項があると思いますが、それをなくすためにフレームワークは重要です。
フレームワークのなかでも、3C分析は、経営計画や経営戦略を考えていくうえで、基本的な部分を抑えるのに使われる分析手法です。自身の経営を取り巻く「ミクロ環境」を分析することが出来ます。
併せて、マクロ環境を分析できるフレームワークである「PEST分析」も行うと、自身の経営環境が理解できると思います。PEST分析については以下の記事で紹介していますので、参考にしてください。
わたしたちの民泊経営について「3C分析」してみた
(1)Customer(顧客・市場)
カスタマーは「顧客・市場」と訳されます。すなわちターゲット顧客の特徴を分析することですね。
顧客の年齢、性別、年収といったデータを分析することは大切ですが、それだけでなく、価値観、ニーズなどの「数字では表れない要素」に着目するのも大切です。
これらを理解することで、顧客の求めているサービスを提供できるようになるはずです。
【既に事業を始めている場合】
- 実際に来てくれたお客さんへのアンケート調査などで把握
- airbnbなどのレビューを参考にする
実際に分析する際は、顧客に対しアンケートやヒアリング(話しかけ)を行い、それを基に顧客の特徴を把握するのが一般的です。
【これから事業を始める場合】
- 各省庁や民間のアンケート調査結果を基に分析する
- 自身や友人の体験をもとに顧客について想像する
以下は、宿泊業に使いやすい統計データの一例です。
- 宿泊旅行統計調査(観光庁)
- 農泊を中心とした都市と農山漁村の共生・対流 調査報告書等(農林水産省)
- JTBF旅行者調査(日本交通公社)
- JTB総合研究所
これから事業を始める場合、お客さんに聞いてみることはできません。そのため、各省庁や民間のアンケート結果を基に、ターゲットについて考えることが有用です。
また、自分(もしくは友人)がホテルや民泊を活用したときの経験を元にターゲットを想像してもいいと思います。この場合、統計的な情報とは言えませんので、アイデアの着想くらいにするのがよいと思います。
- お客さんは首都圏からが100%(ほとんどが東京都と千葉県。埼玉県や神奈川県からも)
- 家族やカップル、大学生の利用が多い
- 利用者は県内全般を観光(行方市の観光スポットへ行く人は少ない)
- サイクリング客は20組中1組(サイクリストは宿泊しない?)
- ヤギがいるから私たちの民泊を選んでくれた人が多数
(2)Competitor(競合他社)
競合分析を実施する際は、まず競合企業を特定する必要があります。
競合相手には、直接的な競合相手だけでなく、間接的な競合相手にも着目するといいようです。すなわち周辺の民泊施設だけでなく、ホテルや旅館が競合になりうるか、また、他の地域の宿泊施設が競合にならないか考える必要があります。
競合他社を特定したら、以下のように具体的な分析を行っていきます。
- ポジション(低価格など)
- 市場シェアや営業利益率
- 競合の経営戦略
- その他
これらの項目について、競合する宿泊施設を分析することで、自社の経営戦略(ポジションをどうするなど)を見直すことも出来ます。
- 競合としてairbnbで近隣宿泊施設をまとめた(上の表を参照)
- 私たちの施設は、少人数で利用しやすい価格帯
- 唯一の家主滞在型
- ヤギとのふれあいが出来るなど体験型の宿泊施設
- 家主とすべての設備が共有(一部貸出なし)
(3)Company(自社)
Company(カンパニー)は訳すると、「会社」ですよね。すなわち自分の会社の視点で考えてみましょう。
自社分析のやり方としては、以下の項目について考えていきます。
- 自社の持つ経営資源
- 自社の実績やシェア
- 自社の強みと弱み
- 経営戦略やマーケティング施策
今回は、競合分析のところである程度、自分たちの施設と競合施設を比較したので、ここでは詳しく示しません。
ここでの分析結果を比較することにより、自社が持つ課題や今後の事業展開を考えることができます。
まとめ
3C分析のやり方に答えがあるわけではありませんが、A4用紙を3つに分けて、それぞれの項目について書いてみるのも良いかもしれません。
以下に簡単なフレームを乗せておきます。ご活用ください。
3C分析は、ターゲットを明らかにできるだけでなく、経営戦略を具体的に作っていくための分析手法「SWOT分析」の準備にもなります。
SWOT分析については、以下の記事をご覧ください。
この記事が民泊を始めたいと考えている方の、また、民泊事業を行っていて改めて自身の事業について考えようとしている方の、お役に立てれば嬉しいです。ではまた。