お庭の片隅に、きれいな花が咲くと嬉しくなります。だけどその植物が、生態系を破壊する外来植物だったらと思うと心配になりませんか?
この記事では、外来植物がなぜ問題なのか、特定外来生物とは、庭に見かける代表的な外来生物、植物の名前が分かるスマホアプリ、について紹介しています。
また、駆除の方法については、環境省や自治体のホームページを参考にしながら、私たちの経験も踏まえつつ、分かりやすいことを重視してまとめたつもりです。
庭の手入れの参考になれば嬉しいですし、少しでも人の手が届く身近な環境の改善に貢献出来たら幸いです!
外来植物はなぜ問題なの?
外来種は、人間の活動に伴って本来その生き物が生息していなかった場所に持ち込まれた生き物です。哺乳類や魚類などの動物や植物も含めて「外来種」です。
外来植物に限定すると、同じような食物や生息環境を持っている在来の生物との「競合」や、近縁の種同士で交配し雑種が生まれてしまう「交雑」などが問題です。
それは在来の野生生物の減少や絶滅・地域の植生の変化など「生物多様性」への影響につながります。また「農林業・漁業」への影響も考えられます。
特定外来生物とは
日本ではこうした外来生物の問題に対処するため、法律で悪影響を及ぼす外来生物を「特定外来生物」として指定しています。オオクチバス(ブラックバス)やアライグマなどが知られていますが、多くの外来植物も指定されています。
特定外来生物に指定されると、以下の行為が規制されます。
- 飼育、栽培、保管、運搬の原則禁止
- 輸入の原則禁止
- 野外へ放つ(植える、撒く)ことの禁止
- 飼養等の許可を受けていない他者への譲渡や販売の禁止
庭で見かける代表的な外来植物
オオキンケイギク(特定外来生物)
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オオキンケイギク(学名:Coreopsis lanceolata)は、きれいな黄色の花を咲かせる植物(キク科)で、道路際や河川敷でよく見かけます。
1880年代に観賞用として導入されて、今や全国に広がっています。在来種と競合が懸念されていて、在来の草本植物に影響を与えます。
- 繁殖期:5~7月に開花
- 駆除方法:抜き取り、刈り取り
- 国内移入分布:沖縄を含むほぼ全国
アレチウリ(特定外来生物)
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アレチウリ(学名:Sicyos angulatus)は、ウリ科の植物で、周辺を覆い尽くすうえ、立木に絡み付いて枯らすこともあります。1952年に静岡県で初めて確認され、現在は全国の河川敷や畑などで広く見られます。
河川敷などの在来種、畑作物、イネ、造林木と競合することで、作物の生産量への影響や、競合相手を枯らすことが懸念されています。
- 繁殖期:8~10月
- 駆除方法:土壌処理剤のみの防除は難しく、茎葉処理剤や、結実前の刈り取りといった機械的防除法の併用が必要。河岸を掘削して地盤を低くし、増水時に冠水する場所を創出するなどの予防策も提案されている。
- 国内移入分布:ほぼ全国
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オオハンゴンソウ(特定外来生物)
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オオハンゴンソウ(学名:Rudbeckia laciniata)は、花びらの少ないヒマワリのような見た目のキク科の植物。明治時代に観賞用として導入された植物です。
在来の草本・低木との競合が懸念され、栃木の戦場ヶ原・青森の奥入瀬渓流では急速に繁殖しているとのことです。日光戦場ヶ原では、ホザキシモツケ・イヌコリヤナギ・オノエヤナギ・ズミなど在来の植物との競合が指摘されています。
- 繁殖期:7~10月
- 駆除方法:抜き取り、刈り取り、戦場ヶ原で夏期に駆除作業を実施
- 国内移入分布:ほぼ全国(奈良・大阪を除く本州の全都府県、北海道、愛媛、高知、大分、宮崎、沖縄の各県)
ナガミヒナゲシ
ナガミヒナゲシ(学名:Papaver dubium)は、淡い赤色の花を咲かせるポピーのような植物です。特定外来生物には指定されていませんが、「生態系に影響を与える植物」とみなされています。
移入元は不明ですが、1960年に東京で初確認されていて、道端や畑などで広く確認されています。実のない時期に刈り取るのが好ましいですが、実のある時期は種をこぼさないように丁寧に駆除する必要があります。
ナガミヒナゲシの茎や葉には植物毒である「アルカロイド」が含まれているため、皮膚の弱い人はかぶれやただれを起こしてしまうそうです。そのため「ゴム手袋」をつかった駆除が推奨されています。
- 繁殖期:花期は春
- 駆除方法:抜き取り、刈り取り ※要ゴム手袋
- 国内移入分布:日本全国に広く分布
アメリカオニアザミ(生態系被害防止外来種)
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アメリカオニアザミ(学名:Cirsium vulgare)は、葉っぱがギザギザで、トゲがあるのが特徴のアザミの仲間(キク科植物)です。特定外来生物ではありませんが、「生態系被害防止外来種」に指定されています。
北アメリカから穀物を輸入する際に混入して日本に侵入したとされていて、1960年代北海道で初めて確認されています。現在は、畑や道端などで広く確認できます。
在来種のノアザミとの見分け方は以下です。
【ノアザミ(在来種)】
- 葉のトゲは「葉の縁」のみ
- 花のつき方は「茎の先に1つ」
- 開花時期は5~7月
【アメリカオニアザミ(外来種)】
- 葉のトゲは「葉の縁のほか、表面にも密生」
- 花のつき方は「茎の先に花を数個」つける
- 開花時期は7~9月
- 繁殖期:7~10月
- 駆除方法:抜き取り、刈り取り
- 国内移入分布:北海道~四国
セイタカアワダチソウ(生態系被害防止外来種)
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セイタカアワダチソウ(学名:Solidago altissima)は、北アメリカのキク科植物です。河川敷や耕作放棄地などでよく見かけます。
1900年頃に観賞用やミツバチの蜜源植物として導入されて、増えました。ススキ・ヨシなどの在来種と競合するとされています。
- 繁殖期:8~11月
- 防除方法:抜き取り、刈り取り(年2回以上)
- 国内移入分布:ほぼ全国
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植物の名前を調べる方法
これって本当に外来種か迷ったときや、見たことが無い植物を見かけたときはスマホアプリ「バイオーム」がおすすめです。
AIが「動物」や「植物」の名前を判断してくれます。また、間違った同定(分類上の所属を決定すること)をしていても、詳しい人が教えてくれます。
バイオームについては以下の記事で解説していますので参考にしてください。
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まとめ
この記事では、外来植物がなぜ問題なのか、特定外来生物について、庭に見かける代表的な外来生物について紹介しました。また、駆除の方法についても記載しています。
庭で珍しい植物を見かけたら、その植物がどんな植物なのか知って、もし特定外来生物だったら駆除することをオススメします。また、特定外来生物を育てたり、移植させたりしてはいけないことが分かりました。
この記事が、みなさんの暮らしのお役に立てれば幸いです。ではまた。
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