2021年現在、私たち夫婦は民泊運営を始めて2年目になります。
コロナ以前より事業の計画を立て届出を済ませ、現在はコロナ禍真っ最中という感じですが、改めて「なぜ自分たちが観光地でもなんでもない地方で民泊運営を始めたのか?」ということをご紹介してみます。
具体的には、6つのトピック(民泊には限らない、地方移住の選択、働き方の理想、社会情勢:民泊新法の施行、家族ビジネスでリスク回避、コロナ禍をどう捉えるか)に沿ってご紹介しています。
少しでも同じようなことに興味がある方にとって、参考になる読み物になれば嬉しいなと思います。
【結論】民泊には限らない!?
なぜ民泊運営を始めたの?という質問にお答えするならば、特に民泊運営だけにこだわっているわけではない、という結論に行きつきます。
この記事では、夫婦対談を交えたQ&A形式でそのあたりのお話を深ぼってお伝えします。
ざっくり言うと、求めている生き方、描いている理想の働き方、急速に変化する社会情勢、などが関与していると思います。
地方移住の選択
私たちは現在、夫婦二人とヤギ二頭で築年数約50年の古民家で暮らしています。
部屋の間取りは4LDKと二人暮らしには広く、また、ヤギ二頭が走り回っても全く問題ない(むしろ草刈り管理が大変な)広い庭もあります。
そんな環境で、自宅の空き部屋2室を利用して、家主滞在型民泊(Guesthouse fU96)を二人で運営しています。
立地は関東平野の田舎です。敷地内からは湖と夕日が眺められて、のんびりした風景が気に入っています。
結婚直後の2年間は駅前マンションの10階に部屋を借りていて、地に足付けた生活がしたい!と思っていたかな。というか、季節ごとのイベントがなくて暇だった(笑)
僕はもともと地方出身だけど、例えば畑をやっていたりすると夏にはキュウリがたくさん実って大変。
でも逆にそういう「やらなければいけない仕事」がなくなって、今までの生活と違うな、地に足付けたいなと感じるようになったかな。
私は都市部出身で地元は観光客で賑わっているところなんだけど、小さい頃から田舎の祖母の家に連れて行ってもらうのが大好きで。
祖母は信州のリンゴ農家で、きれいな星空や標高の高い山々など自然に恵まれた周辺環境のなかで暮らしていたよ。
頭の中には常に漠然と祖母の暮らしがあったかな。環境問題にも関心が湧き、大学では環境社会学を専攻したよ。
働き方の理想
地方出身の夫、都市部出身の妻。そんな二人ですが、それぞれが地方暮らしや古民家暮らしを求めていることが分かりました。
「自然風景を近くに感じながら、庭で土いじりを楽しんだり、生き物に寄り添いながら地方で生きる」といった生き方についての方向性がなんとなく定まってきたとき、仕事や働き方についても考えました。
ぼくは、大学時代に読んだ本に影響を受けているよ。『半農半X』『月3万円ビジネス』はそれにあたるね。
ただ、これらを読むとザ・田舎暮らしっぽいビジネスに執着しがちだと思うんだよね。
ぼくはそういうこだわりはなくて、一見田舎暮らしと縁が無さそうなスモールビジネスも選択肢に捉えていたかな。民泊もちょうどいいんじゃないかと思っていたよ。
面倒くさい人間関係から解放されて働くことかな。大学卒業後すぐに入社した日系企業の人間関係が最悪で、嫌な思いをしたよ。
ある程度の規模の企業であれば従業員も多くなる分、人間関係が複雑になることを体感した。
その頃から働くなら一人、二人、もしくは少人数の組織でと思うようになったよ。信頼できる夫婦で一緒にビジネスをすることは理想の形であると言えるね。
社会情勢:民泊新法の施行
ここまで個人的なことを述べてきましたが、社会情勢的にも私たちの理想を後押しした出来事がありました。
2018年6月に施行された、住宅宿泊事業法(民泊新法)です。
それまでは宿泊業を営むためには、旅館業法というシビアな法律に則った規制をクリアした事業者しか宿泊業を運営することは出来ませんでした。
それが民泊新法の整備によって、個人でも無理なく宿泊業を営めるようになったのです(届出のために書類を揃える必要はもちろんあります)。
「営業日数は年間180日まで」というハンデはあるものの、スモールビジネスを行うには十分です。
これまでグレーだったものが、法律の整備によって一気にクリアになり、自信を持って「民泊を運営している」と言えるようになった瞬間です。
家族ビジネスでリスク回避
また、自分たちの親世代とは時代が変わり、終身雇用や定年退職の崩壊が現実味を帯びてきました。
そう考えたとき、会社ひとつにしか稼ぎ口がなかったら不安です。稼ぎ口を分散することで、もしもの時に備えるのは自然な流れですよね。
しかも「雇ってもらう」という形態だけでなく、「自分で生み出す」という発想も大切な気がします。
65歳から受け取れると(2021年現在では)言われている公的年金に頼らず、自分たちの老後資金は自分たちで投資や貯蓄を活用し確保することはもはや必須です。
医療の発達も相まって人々はどんどん長生きになり、資金が足りなくなることは容易に想像できます。
夫婦では趣味の時間だけを共有し仕事には一切関与しない、という在り方があるのも重々承知しています。
家族のかたちはそれぞれですから、たまたま私たちは家族ビジネスや夫婦起業にメリットを感じるタイプだったということだと思います。
コロナ禍をどう捉えるか
私たちは2019~2020年初頭にかけて民泊運営の準備をしてきました。そこからすぐにコロナウイルスの登場で世の中が一変しました。
最初はやっぱり不安だったけど、ホテルよりは人が集まらないから逆に良かったのかなと思うようになったよ。特にぼくらの民泊は一日一組限定だしね。
この先どうなっていくか見通せなくて悩むこともある。でも「コロナだからこそ自然に囲まれてリフレッシュできそうなこの宿を選んだ」と言ってくれるゲストもいて、時代の中で役に立てることもあると感じるよ。
まとめ
民泊運営にこだわりがあるわけではなく、自分たちが求める生き方、働き方、そして社会情勢を総合的に判断したうちの選択肢の一つだった、ということです。
地方でどんな仕事ができるか、これからもずっと模索していきたいです。
ここまで、なぜ地方で民泊運営を始めたのか?というテーマでお話をしてきました。
答えになっているようないないような、そんな回答ですが、実はこんな背景があったんだということを記して終わりにします。ではまた。